東京地方裁判所 昭和46年(行ク)14号 決定 1971年4月14日
原告、申立人 株式会社瓢屋
被告 文部大臣 斎藤健 外七名
補助参加人 高野一臣 外一五名
被申立人 下関市長・下関教育委員会
決 定
右当事者間の昭和四四年(行ウ)第一〇九号史跡指定処分取消請求事件について、原告から行政事件訴訟法第二三条の規定による訴訟参加の申立てがあつたので、当裁判所は被告および参加を、求められた下関市長井川克己同下関市教育委員会の意見を聞いたうえ、右両名を訴訟に参加させる必要がないと認め、つぎのとおり決定する。
主文
本件参加申立を却下する。
(裁判官 高津環 小木曽競 海保寛)
行政庁の訴訟参加申立書
名古屋市熱田区市場町一〇四番地
原告 株式会社瓢屋
山口県下関市綾羅木
補助参加人 高野一正 他一三名
東京都千代田区霧ヶ関三丁目二番地
被告 文部大臣 坂田道太
山口県下関市南部町一ノ一
訴訟参加すべき行政庁 下関市長 井川克己
前同所
同 下関市教育委員会
右代表者 松原勤治
申立の趣旨
右当事者間の御庁昭和四四年(行ウ)第一〇九号史跡指定処分取消請求訴訟事件について、行政事件訴訟法第二三条によつて下関市長井川克己及び下関市教育委員会 を訴訟参加させるべく決定をなされたく申立します。
申立の理由
右事件において、指定の範囲、手段および方法について適法妥当なものであるか否か、今後の史跡保存調査の方法、期間ならびに代替地の提供その他補償の有無が争点となるものであるが、右指定に当り、下関市長及び下関市教育委員会はこれに関する調査および関係者との折衝に当り、かつ被告に対し史跡指定申請書を提出したものであつて、従来関係者と代替地についても交渉したものであるので、右行政庁を本件訴訟に参加せしむることは、本件において訴訟資料を豊富ならしめ適正な審理を実現するとともに事案の妥当な解決のため必要であると考えられるので、右行政庁を訴訟参加せしむべき決定をなされたく申立します。
昭和四六年三月一五日
右原告代理人 河本喜与之
木下良平
河本仁之
東京地方裁判所民事第三部御中
昭和四六年(行ク)第一四号
原告 株式会社瓢屋
補助参加人 高野一臣 外一五名
被告 文部大臣
昭和四六年三月二六日
被告代理人 弁護士 新井旦幸
被告指定代理人 斎藤健 外六名
東京地方裁判所第三民事部御中
意見書
一、参加させようとする下関市長は、行政庁として本件史跡指定に何ら関与していないし、下関市教育委員会は本件史跡の調査および文部大臣あて史跡指定の申請をしたが、これは文部大臣の本件史跡指定についての職権発動を促すための申請にすぎず、本件史跡指定処分に関与した行政庁とはいえないので、いずれも行政庁として訴訟参加をさせることは適当でない。
二、また、下関市長および下関市教育委員会を本件訴訟に参加させる実質的必要性はない。すなわち、下関市教育委員会の前記調査の内容等については、被告がすでに攻撃防禦として主張し、かつ立証しているところであり、これ以上下関市長および下関市教育委員会が参加人として本件訴訟に参加しても新たな攻撃防禦方法を提出することは予想できず、したがつて、下関市長および下関市教育委員会の参加によつて、新たな訴訟資料を求めることはできないので、その必要性はない。